2-1 ギタリストはじめ

美容師を辞める時、これまでの自分を振り返りながら色々と反省したおかげか、ギタリストとして生きていくと覚悟を決めた後は、驚くほどスムーズに道が開けたように思う。

JAZZ BAR「JUMP HOUSE」でバーテンダーをさせてもらうことになり、沢山のプロミュージシャンと接する機会をいただいた。

ギターレッスンを受け始めて1年経った頃から、ギター講師の仕事をさせてもらうようになった。

ギター講師になってからは、プロという立場で様々なシチュエーションで演奏する機会をもらった。

「20代は修行期間。ひたすらインプットに専念しよう」と決めていたのだが、周りの人たちから思わぬ機会を次々と与えていただき、貴重な体験を沢山できた。本当に僕は運がいい。

人の縁に恵まれて、音楽の仕事を与えてもらってはいたが、自分の実力が伴っていないことを日々痛感していたので、練習や勉強をしまくった。

今まで親しんでいたロックやポップスだけでなく、ジャズの勉強を真剣に始めた。

ジャズを弾ければ、どんな音楽にも対応しやすい。

ギターの練習だけでなく、音楽全般に目を向けて勉強をするようになった。

音楽の勉強だけじゃなく、自分の体や脳、心の勉強もするように努めた。

ビジネス書や自己啓発書をはじめ、いろんな本を読み漁り、世の中のことを理解しようと努めた。

CDも毎月買いまくって、聴きまくった。

カレンダーに毎日の練習時間を記録して、自分を鼓舞した。

今度こそしっかりやらなければ。

僕はサボっていてはダメになる。

少しでも間違うとダメになってしまう。

そんな思いを抱えながら、福岡で勉強するだけでなく、短い旅にも出た。

25歳の時に憧れだったNYへ行き、ジャズクラブを巡った。

その翌年には、著名なミュージシャンたちのレッスンを受けに、東京へ行った。

僕は20代のうちに、美容師時代に出会った内山覚さん以外にも沢山のミュージシャンから教えを請うた。

どうなるか分からない未来に目をふさいで、行き当たりばったりで過ごした少年時代。

逆境に負けて、自分勝手に生きた学生時代。

しっかり自分と向き合わないまま迎えた美容師時代。

ギタリストとして生きていくと決めた後は、その失敗を取り返そうと必死に過ごした。