美容師を辞める時、これまでの自分を振り返りながら色々と反省したおかげか、ギタリストとして生きていくと覚悟を決めた後は、驚くほどスムーズに道が開けたように思う。
JAZZ BAR「JUMP HOUSE」でバーテンダーをさせてもらうことになり、沢山のプロミュージシャンと接する機会をいただいた。
ギターレッスンを受け始めて1年経った頃から、ギター講師の仕事をさせてもらうようになった。
ギター講師になってからは、プロという立場で様々なシチュエーションで演奏する機会をもらった。
「20代は修行期間。ひたすらインプットに専念しよう」と決めていたのだが、周りの人たちから思わぬ機会を次々と与えていただき、貴重な体験を沢山できた。本当に僕は運がいい。
人の縁に恵まれて、音楽の仕事を与えてもらってはいたが、自分の実力が伴っていないことを日々痛感していたので、練習や勉強をしまくった。
今まで親しんでいたロックやポップスだけでなく、ジャズの勉強を真剣に始めた。
ジャズを弾ければ、どんな音楽にも対応しやすい。
ギターの練習だけでなく、音楽全般に目を向けて勉強をするようになった。
音楽の勉強だけじゃなく、自分の体や脳、心の勉強もするように努めた。
ビジネス書や自己啓発書をはじめ、いろんな本を読み漁り、世の中のことを理解しようと努めた。
CDも毎月買いまくって、聴きまくった。
カレンダーに毎日の練習時間を記録して、自分を鼓舞した。
今度こそしっかりやらなければ。
僕はサボっていてはダメになる。
少しでも間違うとダメになってしまう。
そんな思いを抱えながら、福岡で勉強するだけでなく、短い旅にも出た。
25歳の時に憧れだったNYへ行き、ジャズクラブを巡った。
その翌年には、著名なミュージシャンたちのレッスンを受けに、東京へ行った。
僕は20代のうちに、美容師時代に出会った内山覚さん以外にも沢山のミュージシャンから教えを請うた。
どうなるか分からない未来に目をふさいで、行き当たりばったりで過ごした少年時代。
逆境に負けて、自分勝手に生きた学生時代。
しっかり自分と向き合わないまま迎えた美容師時代。
ギタリストとして生きていくと決めた後は、その失敗を取り返そうと必死に過ごした。