1-5-1 高校デビュー

高校生になって僕は生き方をガラリと変えた。

ノストラショックや親の離婚、なんとなく上手くいかない学生生活。

ギターを始めて、ギターと向き合っている時はそれなりに楽しめていたけど、それだけでは満たされないモヤモヤする日常をなんとかしたかった。

もっと楽しもうと思った。

私立の進学校も受験して内定をもらっていたのだが、滑り止めで受けた、家の近くにある公立高校に通うことにした。

高校に行かずにバイトをしながら自分の道を探したいと母親に相談したが、奨学金制度を利用すれば経済的にもなんとかなるし、高校は出てた方がいいと言われたので、なんとなく通うことにした。

それまで眼鏡をかけていたが、コンタクトにした。

大して気にした事がなかった髪型も、前髪をかきあげて格好をつけた。

学校の中でもなるべく目立っているグループの輪の中に入ろうと、意識して友達づきあいをし出した。

いわゆる高校デビューというやつである。

普通科でマジメな子たちが多い自分のクラスでは悪ぶって、休み時間には商業科の目立つ連中の輪の中に入っていき、気に入られようと愛想を振りまいた。

自分の安全が確保されていそうな場所では、最大限に不良を演出する。

意識して使っていた口癖は「クラす(殴る)」「殺す」「ボテくりまわす(ぼこぼこにする)」

机を蹴飛ばして、授業中は堂々と居眠りをして、気に入らない先生には暴言を吐く。

気に入られたい相手がいる場所では、相手に気に入られようと必死になる。

「オレは誰々と友達」「あいつチャクいよね(調子に乗ってますよね)」「この間〇〇先輩と遊んだ」

力を持っていそうな相手には愛想を振りまき、勝てそうな相手を見つけては、これ見よがしに威嚇する。

あぁ、今思い出すとヤバい奴だ・・・

悪いことをするのがカッコいい事だと履き違え、タバコを吸って、お酒も飲んだ。

夜は原付を乗り回して外を徘徊し、可愛げのないイタズラをして社会にも迷惑をかけまくっていたと思う。

格好をつけて根性焼きなんかも入れたんだ。僕の腕には今でも二箇所、タバコで焼いた跡がある。

高校時代の僕は明らかにどうかしてた。

幸か不幸か、そんな自分でも居場所があって、僕は勘違いをしまくった。

結局、孤立していったけどね。

初めの方こそ輪の中に入れてくれていた友達たちともなじめす、相手にされていないのに気付かないふりをして「オレは一匹狼だから誰ともツルまない」と虚勢を張った。

よく一人で弁当を食べていた。

あえて一人を好んでいるような雰囲気を装って、心の中ではいつも「誰か声をかけてくれないかな」と周りにアンテナを張っていた。

虚勢を張って、カッコつけて、自分を認めてくれる場所を探してフラフラしていた。

先輩たちの輪の中に入れてもらったり、他校の友達を作ったり、バイト先の年上の人たちの輪の中に入れてもらったり。

いつも「ここではないどこかへ」行こうとしていた。