

演奏や練習をしようと思っていても、そもそもの音が合っていないと先に進めないのですが、チューニングを難しく感じる方は多いです。
それはとても自然なことで、チューニングは奥が深く、正確に習得しようとすると結構むずかしいのですよね。
今回のテキストでは「チューニング」について、必要な知識を一つずつ解説していきます。
覚えることや、理解することが多くて大変に感じるかもしれませんが、根気強く取り組んでみてください。

チューニングとは
チューニングとは日本語で「調弦」と言い、ギター各弦の音程を決められた高さに合わせる作業のことです。
ギターを弾く場所の環境や、楽器の状態などによって弦の音程はすぐに変化するため、こまめにチューニングを行うことが大切です。
初心者と上級者の違いの一つにチューニングの頻度があり、上手な人ほどチューニングの頻度は高いです。

チューニングには、以下のように様々な種類が存在します。
・レギュラーチューニング
・ドロップDチューニング
・オープンチューニング
・ダウンチューニング
演奏に慣れてくると様々なチューニング方法を試すプレイヤーもいますが、レギュラーチューニングでしか演奏をしないというプレイヤーも多いです。
今回は、一番使用頻度の多い「レギュラーチューニング」の方法を解説していきます。
チューニングの方法
チューニングの方法は大きく分けて2つあり、その種類は以下の通りです。
・基準音を頼りに耳で合わせる方法
・チューナーを使って音を合わせる方法
昔は音叉や調子笛などで基準となる音を出し、それを頼りに耳で合わせる方法が主流でした。
現在も、慣れている人は耳を頼りにチューニングを行うことがありますが、一般的なのはチューナーを使ったチューニング方法です。
本テキストでは、チューナーを使った方法について解説していきます。


知っておいて欲しい基礎知識①
チューナーでチューニングをする際、画面に表示されるのはアルファベットがメインです。
アルファベットの意味は「ドレミファソラシド」のことで、チューナーには英語バージョンのドレミが表示されるという仕組みになっています。
・ドレミファソラシドはイタリア語
・英語だとCDEFGABC
・日本語はハニホヘトイロハ
「CDE〜」と「ドレミ〜」が繋がるまでは苦労しますが、覚えてしまうと色々と便利ですよ。
また、アルファベットの右横に数字が表示されることがあり、その数字はオクターブを表します。
ピアノを思い浮かべると分かりやすく、一番左にある「ド」は「C1」、二番目に出てくる「ド」は「C2」となります。
同じ「ド」の音でも、オクターブが違うと聞こえ方が変わり、「C1」はとっても低い「ド」、「C8」だったらとっても高い「ド」という風になるのです。
知っておいて欲しい基礎知識②
チューニングをする際にもう一つ知っておいて欲しいルールがあるので、ご紹介します。
「#(シャープ)」と「♭(フラット)」という記号の存在です。
これらは調号という記号で、音程の細かい変化を表します。
・「#(シャープ)」= 半音上(高い)
・「♭(フラット)」= 半音下(低い)
半音という意味が分からない方はスルーしていただいて構いません。ちょっと、上(高い)。ちょっと、下(低い)。という理解で大丈夫です。
例えば「C#」だったら、「C(ド)」よりもちょっと高い音。
例えば「E♭」だったら、「E(ミ)」よりもちょっと低い音。
という意味になります。
時々、チューナーの表示画面にアルファベットだけでなく、調号も一緒に表示されることがありますが、その時はここを思い出してください。
知っておいて欲しい基礎知識③
チューニングをする際は、ギター各弦の名前を覚えておくことも大切なので、まだあやふやという方は、ここで確認をしておいてください。
一番太い弦が6弦、一番細い弦が1弦です。
・1弦=いちばん細く、高い音が鳴る弦
・2弦=二番目に細く、高い音が鳴る弦
・3弦=三番目に細く、中域の音が鳴る弦
・4弦=三番目に太く、中域の音が鳴る弦
・5弦=二番目に太く、低い音が鳴る弦
・6弦=いちばん太く、低い音が鳴る弦
はじめから全ての弦を完璧に覚える必要はありませんが、1弦と6弦の区別だけでもつけられるようになっておくと、便利かもしれません。
レギュラーチューニングの音配置
アルファベットの意味や各弦の名前を確認した後は、レギュラーチューニングで各弦に定められている音程も確認してください。
ここの理解はとても大切です。
ここまで順にテキストを読み進めていれば、この章はスムーズに理解できるはずです。
・1弦=E4(ミ)
・2弦=B3(シ)
・3弦=G3(ソ)
・4弦=D3(レ)
・5弦=A2(ラ)
・6弦=E2(ミ)
上記の意味がわからないという方は、前章「知っておいて欲しい基礎知識」を読み直してみてください。
また、各音程は暗記する必要はありません。忘れたらその都度確認して、少しずつ覚えていけば大丈夫です。
チューナーの原理
次にチューナーの原理を解説していきます。チューナーは「拾った音の音程を教えてくれる機械」です。
様々な機能がついているチューナーがありますが、この基本的な性質は理解しておいていただきたいです。
・電源を入れる
・音を拾える状態にする
・音を拾う
・その音の音程を表示する
チューナーは、画面に表示されるアルファベットとメーターで「拾った音の音程を教えてくれる機械」です。
アルファベットで大体の音程が分かり、メーターで細かい音程が分かるという仕組みになっています。


チューナーの基本機能は「拾った音を教えてくれる機械」であり、「それから音程をどう変化させればいいか」は使用者に任されます。
最近は様々な機能が付いているチューナーがありますが、この基本的な機能は理解しておいていただきたいです。

チューニングの原理
チューナーの原理を知った後は、チューナーを使ったチューニングの原理も知っておきましょう。
チューニングは「チューナーを頼りに音程を合わせる作業」です。
1.チューニングする弦を選ぶ
2.その弦をどの音程に合わせればいいのか確認する
3.チューニングする弦を鳴らす
4.チューナーでその時の音程を確認する
5.目標音程と現在の音程の差を確認する
6.音程を上げればいいのか下げればいいのか判断する
7.目標音程を目指してペグを回す
8.③〜⑦を繰り返す
地図で言うと、チューナーは目標の音程を指し示してくれる「コンパス」ではなく、現在の位置を教えてくれる「座標」のようなものです。
チューナーは、どの方角にどのくらい進めばいいのかを示す「ナビ」でもありません。
どの方角にどのくらい進めばいいのか(音程を上げるか下げるか)は、自分で判断をする必要があるということを覚えておいてください。

チューナーについて
チューナーには様々な種類がありますが、音の拾い方の違いにフォーカスして、3つのタイプに分類しておきます。
・マイク方式(スマホアプリ)
・ピエゾ方式(クリップ式)
・ケーブル方式(ペダル式)
マイク方式はスマホのアプリに多いタイプで、マイクで音を拾い、その音を判断するチューナーです。
ピエゾ方式はクリップ式チューナーに多いタイプで、振動を直接拾い、その振動から音程を判断するタイプのチューナーです。
ケーブル方式はペダル(エフェクター)形式のチューナーに多いタイプで、ケーブルから音を拾うタイプのチューナーです。
マイク方式は手軽に使える反面、周囲の雑音を拾いやすいという注意点があります。
初心者はギターに直接装着する「クリップ式」がおすすめです。

チューニングをしてみよう
それではいよいよ、実際にチューニングをしてみましょう。
既にある程度、弦が巻いてある方はそのままチューニングを。弦が緩い方は、ある程度弦を巻いてからチューニングを行ってください。
1弦は切れやすいので、巻きすぎないように注意しましょう。
1. チューニングする弦を選ぶ
2.その弦をどの音程に合わせればいいのか確認する
3.チューニングする弦を鳴らす
4.チューナーでその時の音程を確認する
5.目標音程と現在の音程の差を確認する
6.音程を上げればいいのか下げればいいのか判断する
7.目標音程を目指してペグを回す
8.③〜⑦を繰り返す
右手で弦を軽く弾きながらチューナーを確認して、決められた音に合うまで調整を行いましょう。
巻きすぎを防ぐため、低めの音程から弦を締め、だんだん音を高くしながら合わせていくと良いでしょう。
もう一度、レギュラーチューニングの音を載せておきます。
・1弦=E4(ミ)
・2弦=B3(シ)
・3弦=G3(ソ)
・4弦=D3(レ)
・5弦=A2(ラ)
・6弦=E2(ミ)
上記を参考に、今鳴っている音の音程を確認して、高くすればいいのか低くすればいいのかを判断してください。

チューニングのコツ
慣れない内は一つの弦を合わせるだけでも苦労するかもしれませんが、根気強く、チャレンジしてください。
また、以下のコツも参考にしていただけると嬉しいです。
・低い状態から、だんだん音を高くしながら合わせる
・音が合うまで、1秒に1回くらいの間隔で弦を弾く
・右手で弦を弾きながら、左手でペグを回す
・チューニングメーターの動き具合を参考にペグの回し方を調整する
・ピッキングは力を抜く
・分からなくなったら、一旦音を低くする
・分からなくなったら、冷静に丁寧に考える
初心者の方は、感覚だけでチューニングを行うと途方に暮れてしまうかもしれません。
多少面倒くさくても、仕組みを理解して丁寧に取り組めば音を合わせられるようになるので、じっくり取り組みましょう。

チューニングをする際の注意点
さいごに、チューニングをする際の注意点を紹介しておきます。
初心者に失敗はつきものですが、ここを読むことで少しでも失敗を防げることを願っています。
・とにかく巻きすぎに注意
・1、2弦は特に切れやすいので注意
・迷ったら、音を低く
・弦が切れた時、目に飛んでこないよう気をつける
・弦を張り替えた直後は音が安定しにくい(何度も調弦し直す)
注意をしていても、初心者のうちは弦を切ってしまうもの。
チューニング途中で弦を切ってしまってもいいように、バラ売りの1〜2弦を予備で購入しておくとよいでしょう。

さいごに

- 基礎知識編
- 準備編
- 実践編①
- 実践編②
- 卒業試験
丁寧に取り組めば、これだけで基礎が身に付くように設計しているので、独学でギターを上達したいという方は、ぜひ真剣に取り組んでみてくださいね!

