前回の記事で「続けることが一番の上達法」というような内容を紹介させてもらったんですが、今回も大事な上達法の紹介です。
その名も「出来ると信じれば出来るようになる」論。
ちょっと胡散臭いんですが、根性論やスピリチュアル的な話では無いのでご安心を。
よくある「信じれば宇宙が味方して~ナンチャラカンチャラ」というだけでは逆に目標達成率が下がったりもするので…効果的な方法を。
脳科学や行動心理学的な見地から、科学的根拠を交えて解説させてもらいます。
目次
まずは実例から
仕事上、僕は今まで沢山の初心者の方にギターやウクレレを教えさせてもらったんですが、ほとんど例外なくゼロから3ヶ月でみんなかなり上達します。
ギターを持った事が無い人でも大抵、3ヶ月位でカンタンなコードの曲くらいは弾けるようになったり、熱心な人はゼロからソロ・ギターを弾けるようになることもあります。
- 自分に合った情報が手に入るから
という理由も大きいと思うんですが、経験者からかけられる「大丈夫、すぐ弾けるようになりますよ」という声の力も大きいと思うんです。
だから練習に身が入るし、自分でも積極的にできるようになる方法を調べ出したり。
これはマンツーマンレッスンの場合だけじゃなくて、楽器好き同士で定期的に集まってただ曲を弾く、というような状況でも同じで
レッスンを受けたり、誰かに手取り足取り教えてもらったわけでもないのに、弾ける人たちに混ざって弾いてるとだいたい3ヶ月位である程度弾けるようになる人がほとんどなんです。
出来る人に混ざって弾きながら、実際に「すぐできるよ」と声をかけられてその気になるから自分で練習もするし、
「できないのはおかしい」とあれこれ考え実際に出来るようになる。
そんな仕組みなんだと思います。
科学的な視点から解説してみます
今挙げた例だけじゃなく「出来るようになると思えたから出来るようになった」という場面は結構思い当たります。
以前から、やり方や能力だけじゃなく「出来ると信じる事」は目標達成においてかなり効果があるんじゃないかと色々考えていたんですが…
最近、脳科学や心理学の勉強をしていて納得のいく理由にたどり着いたので、「出来ると信じる事」の効果について紹介させてもらいます。
そもそも人間の脳は勘違いだらけ
脳というのはありえないほど性能が良いらしいんですが…
どんな人の脳でもフルパワーで動き出せば、あらゆるジャンルで軽く世界記録を塗り替える事なんてラクショー。最新のパソコン30万台分くらいの能力があると言われています。
でも、脳は燃費が悪く、動かしすぎるとエネルギーが一瞬で尽きてしまうため、普段は10%ほどの働きしかしていません。
脳はサボりたがり、ラクをしたがり、常にいかに働かないかを考えているんです。
あらゆる事をショートカットで済まそうとするため、勘違いや思い込みも頻繁に発生します。※このことは、専門用語でヒューリスティクスやバイアスと呼ばれています。
ものすごく仕事ができるヤツなんですが、働くと疲れるので普段はテキトー。「少々のミスは気にせず、なんとなくやり過ごして無難に一日を終えよう」というのが脳の性格。
「できない」と思っている時のほとんどは、単に脳が「働きたくない」と言ってるだけだと思って間違いありません。
脳の働きは考え方と使い方で激変する
脳は基本サボり屋なんですが「働きたい」「動きたい」とやる気を出しさえすれば、動き出します。
目標達成のためには脳をやる気にさせ、働きたいと思わせることがとても大切なんですね。
一度やる気を出し動き始めた脳は、最新パソコン30万台分の性能をフルに活かし、驚くべき成果を生み出すんです。
※やる気を出すホルモンの一つを「ドーパミン」、動き出した時のエネルギーを「ウィルパワー」「意志力」、活動に関係が深い部位を「前頭葉」と呼びます。
出来ると思うことが脳のスイッチ
やる気が出る「ドーパミン」を出して自分を動かす方法や、集中力の源「ウィルパワー」を効率よく使う方法についてのテクニックは沢山あるんですが…
目標達成で一番手っ取り早いのが「自分は出来る」と信じてしまうこと。
そうすれば、脳は無意識の内に「出来るようになる方法」を探しながら動き始めます。
例えば「なんだかホントにギターを弾ける気がしてきた!」とその気になり始めると…
- 雑誌を読んでいると効果的な方法がたまたま目に留まる
- 突然、音楽仲間ができる
- 運良くギターの達人と出会う
こんな状況が頻繁に起こり始めます。
これは運が良いと言う訳ではなく、日頃接している膨大な情報の中から無意識の内に脳が必要な情報を選り分け、無意識の内に運が良くなるような行動を選択しているからなんです。
※脳は1秒間に約4000億ビット(本約60万冊分)の情報量を受け取りますが、意識できる量は1秒間に約2000ビット、処理できる量は1秒間に約100ビット程度。
「出来る」と信じることは、脳のスイッチを入れることになるんですね。
専門用語で言う所の
- 確証バイアス
- 過信効果
- ハロー効果
を上手く使いましょう。
※「確証バイアス」「過信効果」「ハロー効果」とは、脳の勘違いに付けられた学術用語。脳は案外適当だという事が分かるので、調べてみると面白いです。脳の勘違いを知って自分に有利に利用しましょう。
注意点
「自分は出来る」と信じることで脳にスイッチが入り、無意識の内にも脳は働き出すんですが、その時に気をつけておきたい脳の仕組みがあります。
それは次の2点。
- いいことをすると悪いことをしたくなる
- 計画を立てただけで実現したと錯覚してしまい何もしなくなる
脳にはこのような仕組みがあり、
- 「弾けると信じれた自分ってエライ!」と自分を褒めてしまうと、逆に目標にそぐわない行動を始めてしまったり
- 「もう弾けたも同然!」と手放しで喜んでしまうと、目標を達成したと錯覚してなにもしなくなったり
という事にもなりかねません。
「自分は出来る」と信じることが出来た後は、
- 「出来るようになると分かっただけで、まだ出来るようにはなっていない」という事を自覚し
- 「どうやったらできるようになるだろうか」と具体的な方法を積極的に探す姿勢をとる
事が大事です。
参考文献
かなりざっくりまとめてみましたが、今回の記事は以下の本の知識を参考にお話をさせてもらいました。
更に詳しく知りたい時はぜひチェックしてみてください!
- ファスト&スロー/ダニエル・カーネマン
- フロー体験 喜びの現象学/ミハイ・チクセントミハイ
- 自分では気づかないココロの盲点/池谷裕二
- 倒れない計画術/メンタリストDaiGo
- スタンフォードの自分を変える教室/ケリー・マクゴニガル
さいごに
「自分は出来る」と信じることが結構むずかしかったりするんですが…
思い込みやこじつけでもいいので「自分は出来る」と信じられる根拠や情報をいっぱい探し、自分なりに納得すれば大丈夫。
世の中には色んな意見があって、厳しかったり、自信が無くなるような情報に出会うことも多々ありますが、そんなのは「自分は出来る」と信じることが出来てから参考にすればいいんです。
まずは自分を肯定し、可能性を信じることからスタートしましょう。
応援しています!
コメントを残す